性暴力加害者にならないために
今回は世の中の人(主に男性諸君)が性暴力加害者にならないための私の考え方について書き連ねていきます。
他の記事と違ってコツやポイントを紹介する形ではありません。
今回は私が育っていく過程や経験してきた体験から生まれた考え方がより強く反映されているためストーリー形式でお届けします。
最初に結論を述べませんし書き殴りに近いのでやや読みづらさはあるかもしれませんが、ぜひ読んでいってください。
初恋〜小学6年生まで
私は1998年生まれの25歳、男性です。(2024/04/15 現在)
父親はかなり厳しく、家族も社会のようなものだと育てられてきました。
母親はとても優しく基本的に怒ることはありませんでした。
母親は専業主婦だったので毎日面倒を見てくれていて、学校であった出来事や勉強の話も母親にたくさんしていました。
私の初恋は幼稚園の年長の頃でした。当時、男の子も女の子も関係なく遊んでいましたが一人の子にだけやけにドキドキするような感情を抱きました。
どうしても想いを伝えたかった私は母親に相談し、園児用の雑誌についてくるシナモロールの髪留めの付録をプレゼントすることにしました。
プレゼントは母親から相手の母親に渡してもらうことにしましたが、相手の女の子も既に同じものを持っているということで結果的に渡すことは叶いませんでした。
当時は落胆したことを覚えています。笑
そんなこんなで小学生になってからも好きな人はいましたがイマイチ自分に自信がないことと”好き”という感情に恥ずかしさを覚え、母親に相談することがあっても直接想いを伝えることはありませんでした。
しかし、小学6年生のとある日に、私の心に衝撃が走る事件がありました。
”好き”という感情について
それはクラスの女の子の一人に好きな人がいて、
その女の子が茶化されていたことに担任の先生がホームルームで激怒したのです。
当時、担任の先生が語った内容を今でも覚えています。
「誰かを好きになるということは、誰かの良いところを見つけたということ。誰にだって他の人の良いところを見つけられるでしょ?これを否定する者は自分が愚か者だということを恥じなさい。」
衝撃でした。
今まで”好き”という感情をひたむきに隠していた自分を全肯定してもらうことが出来てこの感情に自信を持つことが出来ました。
そして、中学に入る直前に好きな人に告白をして、無事付き合い始めることが出来ました。
この頃から思春期ということもあり、付き合ってることを母親に言うのは億劫でしたがデートに出かける際の口実を上手く作ることが出来ず結果バレていました。
しかし、結果としてバレたことが私を大きく変えてくれたと思います。
母親の金言
とある日に彼女の家に遊びに行くことになりました。
何気なく出かけようとした際に母親に「今日はどこに行くの?」と聞かれたので「彼女の家」と答えると、あんなにも普段は温厚な母親が血相変えて近寄ってきて、
「あんた女の子傷つけるようなことするんじゃないよ!?」
と、一言。
中学1年生の私は正直なんのことやらで「う、うん。行ってきます…」といった感じで出ていったと思います。
ただ母親の見たことない怒気に圧倒され、ずっとその言葉が頭の中に残っていました。
そして中学2年生のある日、その言葉を理解する時がやってきました。
当時はお付き合いしている彼女も変わっていて、その彼女の家に遊びに行くことになりました。
家にあがると中学2年生の私にとっては異様な雰囲気を感じました。
まず、彼女のご家族が家にいませんでした。中学生であれば家にお邪魔する際は必ず親御さんがいて出迎えてくれるものだと思っていたからです。
そして、彼女の服装は明らかに短いホットパンツとブカブカのシャツに下着を付けていませんでした。当時の私には刺激が強すぎました。
かがまれると色々見えてしまい、これは誘われているのではないか、襲いかかっても良いのではないかと思いました。
中学2年の男子でまだ未熟な私は高揚を覚えましたがそこで、
昔の母親の言葉を思い出したのです。
自分が思い浮かべている不埒な行為が、女性を傷つけるということか、と。
実は母親に女の子を傷つけるなという話をされたのは1度だけではありませんでした。みなまで言わずとも、「常に女性が傷つく側で男が傷つける側なんだよ」と。
なので私は「仮にいま私の勘違いではなく本当に彼女の方から誘ってきていたとしても、彼女にとっては未知なる行為への好奇心でしかなく結果的に彼女が傷ついてしまう」と思いました。その後私は彼女の体に触れることなく帰りました。
もしそのまま手を出してセックスしていた場合、私が帰ったあと彼女はひどく傷つき泣いていたと思います。もしくはその時傷つかなくとも私と別れたあととかに、傷が過去から追いかけるようにして彼女の心を攻撃していたと思います。
よく、「女性からの誘いを断ることは女性の顔に泥を塗ることだ、女性を傷つけるな」という言葉を耳にすることがありますが私はそれは間違いだと思っています。
何でもかんでも勧められたご飯を食べれば良いというわけではありません。
男女の関係において男性は女性を守るための立場であり、困っている時に手を差し伸べ、善悪を見極めて正しい道へと指南することが役割だと気づきました。
恐らく私も母親からの言葉がなければ道を踏み外していたと思います。
そしてこの体験から私の中に大きな芯が1つ出来上がりました。
その後お付き合いしていく彼女とも健全な関係を保っていくことができました。
大学生の頃の話
時が経ち、大学2年生の頃とある事がおきました。
同じバイト先の後輩の女の子が相談をしてきて、
その内容は「バイト先の先輩が家に勝手に来て、家に入れたら無理やりセックスさせられた」というものでした。
私はその子が可愛そうで腹立たしく思いつつも、”大学生らしい”なと思いました。
(今から考えると当時の私を引っ叩いてやりたいくらいです。
”大学生らしい”なんて言葉で片付けてはいけません。
男は”大学生らしい”を理由にセックスの強要(レイプ)を正当化し、女性は”大学生らしい”を理由になんとなくセックスを正当化させその欲求を受け止めなければならない、という実情に気づけていませんでした。
これは私の反省と学びでした。)
その後1ヶ月ほど相談に乗っていく中で、ある日にその後輩の女の子が外で話すのは恥ずかしいから家で話したいと言い、私の家に来ることになりました。
話しが終わればすぐ帰るかと思っていましたが、その子が眠くなったと言い私のベッドで寝始めました。
その後、先輩も一緒に寝ませんか?と。その子はかなりクロに近く私を誘ってきていたと思います。
それは相談に乗り始めてから気づいたことなのですが、実はその後輩の女の子、男女の関係について学内では良くない噂が立っていました。
真偽は不明ですが、どちらに転んでも良い話ではないと思っていました。
その瞬間、今までの相談事も全部嘘だったのかもしれないと少し怖くなりました。
仮に今までの話が全部本当だった場合、それはそれでセックスで起きた悪夢をセックスでかき消そうと、悪循環に入っていってしまってるのではないかと思いました。
当時私に彼女はいませんでしたが当然の如く彼女に触れませんでした。
この頃から気づき始めたのですが私は好きではない人に対して性欲がありません。
なので自分にとってのメリットもないし、仮にセックスをしても中学の時の経験と同じで後輩の女の子は後から傷を追うだけだと思い手を出しませんでした。
とにかくその後輩の女の子に自分の身体をもっと大事にして欲しいと思いました。
恥をかかせたかもしれません。それでも良いです。それがベストです。
その後LINEは一度も返信がきませんでした。
もしかしたら私が性的に消費されていたのかもしれませんが、私にとってはそれはどうでも良いことで、とにかく女の子は自分の身体をもっと大事に、安売りしないで欲しいと強く思いました。
社会人2年目の頃の話
社会人にもなった2年目のとある日、同期メンバー10人ほど集まって飲みに行きました。
私は1人の女性同期と仲が良かったのですが、その日その子は日頃のストレスから早々にお店で酔いつぶれてトイレに篭っていました。
トイレから出てきた彼女はまっさきに私を呼んで腕にしがみついてきました。
そのまま家に帰りたいから外に連れて行って欲しいと言われ、言われるがままに外に連れ出しました。
タクシーに乗せて家に帰そうとしましたが彼女はそれを拒みました。
このあたりから「様子がおかしいな」と思いましたが彼女は明らかに酩酊状態で普通ではありませんでした。
タクシーに乗せようとするも乗らない、勝手にどこかにフラフラで歩き出す。しまいにホテルに連れて行って欲しいと言われ、吐瀉物まみれであったことからもホテルに連れて行くことにしました。
が、ラブホテルではなくビジネスホテルに連れて行きました。
ホテルの室内で彼女は私をベッドに引っ張り込むようにしましたが私はそれを拒みました。
当時その女性同期に彼氏がいることを私は知っていました。
酔った状態の人の言葉を信じられないものありません。
彼女は本当はこんなこと望んでいない。
ここで私が手を出してしまったらこれこそ性暴力加害になると強く思いました。
みなさんに強くわかって欲しいのは、
お酒が入ってる時のYESはYESなんかではありません。
YESでもNOでも何ものでもない意味のない空っぽな発音でしかありません。
男はよくこれを勘違いしがちで後から問題になりますが、
いい加減馬鹿な真似はやめて欲しい。
大事なことだと思うのでもう一度書きますが、
男性は女性を守るための立場であり、困っている時に手を差し伸べ、善悪を見極めて正しい道へと指南することが役割だと思っています。
傷つけることが役割ではありません。
女性が一時の感情やテンションで身体を傷つけようとしていたら一緒になって傷つけるんじゃなくて守ってあげることが役目です。
そして今。
私には大切な彼女がいます。
初めて責任を取りたいと思えるような人に出逢うことが出来ました。
経済的な面で責任を取ることはもちろん、一緒に向き合って心で対話して関係を築くことが出来ています。
女の子が良いよと言ったからセックスしようなんて話は馬鹿げてます。
その子が妊娠してしまったらあなたは責任を負えますか?
その子が本当はNOと言えない、もしくはあなたがNOと言わせない状況を作っていた場合、セックスの後のその子の心のケアを完全に出来ると言えますか?
女の子が自分で心に包丁を突き刺そうとしていて一緒になって突き刺す馬鹿にならないでください。
みな等しく前頭葉があってその先のことを考えることが出来ます。
みな等しく誰かの子供です。
自分の子供がもし性被害にあったとき、あなたは加害者を肯定しますか?
性暴力加害者になるということはそれを全肯定出来ることと同じだと思ってください。
少しでも傷つく女性が少なくなれば良いと心から願っていますし、女性を守れる男性を増やせるように努力したいと思います。